見学会にて、お客様に木材産地についてのお話をうかがうことがありました。
とっさに連想したのが人工乾燥材によるプレカット全盛の昨今ですから、木材産地に根強く残る 「天然乾燥」についての最近の事情を調べてみました。それがちょうど良いタイミングだったようです。 木材は大きく育つのに大量の水分を地中より吸い上げます。含水率200%の杉材などと聞くと信じられないほどですが、かつてはそういう未乾燥材を使って家をつくっていましたから乾燥収縮による木材の割れや狂いは竣工後、何年経っても顕著でした。 特に梁材のような大きな断面のものには、まず間違いなく表面割れが発生し「無垢の木材というものは、このように割れるものですから。」と供給者側がユーザーに理解を求めるのが通例です。強度には何の影響もないことですが、見た目の悪さからクレームになることもたびたび。 工期短縮や高気密性の確保、構造強度の向上など 建て方の変化に伴い乾燥材が求められ、人工乾燥による木材供給が盛んに行われています。その結果、木材の含水率は15%を切るほどにもなり少なくとも表面割れはかなり見られなくなってきました。 ところが、人工乾燥の温湿度の程度や掛ける時間の長さによって、木材内部での「内部割れ」が生じ、構造強度の 低下が懸念されています。 それを受けて、この4月に農水省のワーキンググループより「安全・安心な乾燥材の生産・利用マニュアル」として三年間の研究成果が発表されました。杉・檜などについて「内部割れ」が少なく強度面でも問題が生じない乾燥スケジュールを提案していて、今後の木材乾燥の大きな指針となっています。 日比
by hearthandhome
| 2012-07-05 07:58
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